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2025年7月8日

「ドラッグ・ロス」とは欧米ですでに承認された薬が日本では使用できない状況を指します。このブログでは、日本におけるドラッグ・ロスの範囲の概要と、モデルを活かした医薬品開発 (MIDD) がこの問題の軽減にどのように役立つかを考察していきます。

ドラッグロスの深刻度はあらゆるメディアや報告書、論文でも指摘されてきました。2024年に発表された「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」に関する令和6年度厚生労働科学特別研究班の整理報告書」でもこの問題が取り上げられました。2016年から2022年の間に、米国食品医薬品局(FDA)は136件の新薬を承認しました。一方、欧州医薬品庁(EMA)は86件の新薬を承認しました。2022年時点で、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、これらの承認済み新薬グループから86件の新薬承認申請(NDA)の提出を受けていません。この承認済み新薬の内訳について、報告書から以下のことがわかります;

  • 海外ベンチャー発が56品目
  • オーファン指定が47品目
  • 小児適応が37品目
  • それらのほとんどが日本では開発未着手1

2023年7月時点での欧米のメガファーマやバイオベンチャーによって開発・申請中の革新的モダリティのうち、75品目が日本では開発未着手であり、その深刻度は増す一方です。2

Figure 1: 60% of globally approved new drugs cannot be used in Japan. (Reference: Daisk Tanaka、Regulatory updates in Japan, 12th Joint Conference of Taiwan and Japan on Medical Products Regulation, 7 October 2024)

図1:欧米で承認された新薬の60 % は、日本では使用できない。

(Reference: Daisk Tanaka、Regulatory updates in Japan, 12th Joint Conference of Taiwan and Japan on Medical Products Regulation, 7 October 2024)

ドラッグ・ロス解消の一助となる、モデルを活かした医薬品開発(MIDD)

先述の通り、ドラッグ・ロスのなかでも、特に小児癌や希少疾患の革新的治療モダリティのドラッグ・ロスが日本における最大の課題となっています。サターラは、MIDD の活用拡大を提唱することでこの問題に取り組んでいます。弊社のソフトウェアとサービスもMIDDをフル活用し、世界各国の製薬企業に以下のソリューションを提供しています、

  1. シミュレーション技術を生かし、臨床試験デザインを最適化
  2. データ統合・解析による開発企業の意思決定支援
  3. PMDAとの協調支援により、このドラッグ・ロス解消に貢献

サターラは、ランダム化比較試験(RCT)が実施不可能な小児癌や希少疾患領域に対するMIDD戦略による包括的な開発サポートを実施し、日本のドラッグ・ロスを解消できるMIDD革新エコシステムを構成することが可能です。 3

ターゲット疾患ごとに最適化されたQSPやMBMAを含むMIDDは、多重特異性抗体や再生医療製品などの革新的なモダリティに対しても、これらドラッグ・ロスの生じている疾患領域にエビデンス・レベルの高い治療選択肢を提供できます。抗体やCAR-Tは、医薬品損失の問題が深刻な分野です。 4,5,6 PMDAにおいても、審査プロセスにMIDDを積極的に導入・推進しており、今後もその活用範囲の拡大が期待されます。7

図2:テクノロジーを活用したMIDDエコシステム

(Reference: Rajesh Krishna, The Utility of Model-Informed Drug Development for Rare Diseases, 2022年5月20日 Blog, Certara | Model-Informed Drug Development for Rare Diseases)

欧米と日本の申請要件に精通するサターラにできること

サターラのサービスチームは、FDAのOrphan Drug DesignationやEMAのOrphan Medicinal Product Designation取得に関する戦略立案や申請資料作成といった、製薬企業への幅広い支援実績を誇ります。そのため、日本独自の要件も満たす最適な申請計画策定を提供し、希少疾患の治療薬開発加速と市場投入を促進できるでしょう。

小児疾患に関してもサターラは世界中でMIDDを活用したPediatric向けサービスの実績があり、EMAのPaediatric Investigation Plan、FDAのinitial Pediatric Study Plan (IPSP)Project Optimusに関する戦略支援をもとに、小児がん患者などの未充足ニーズ解消に向けた開発戦略を設計しています。

サターラは、世界各国で欧米製薬企業とさまざまな形で、欧米既承認だが日本未着手であるドラッグ・ロス品目に関して、あらゆる審査期間(IND/CTA~PMS)にわたり連携しています。

サターラの日本支社には日本人のコンサルタントが複数名所属しており、世界各国の専門家と連携しながら、日系製薬企業やPMDAに新薬承認申請を検討している各企業に各種コンサルティングを提供しています。

概要

MIDDで算出された様々な定量的データを活用したFDA・EMAとの科学的な対話や、申請前ミーティングやアドバイザリーボード対応におけるデータ準備やシナリオ検討を通じて、各国規制当局の承認要件をクリアしやすい臨床計画やデータセット構築を実現できれば、結果として日本国内のドラッグロス解消の一助につながると考えます。

PMDAへの新薬承認申請をご検討の方、MIDDの活用について日本人コンサルタントに相談したい方はお気軽にお問合せください。希少疾患や小児向けコンサルティングサービスにご興味のある方は、ホームページの治療領域別ソリューション一覧をご覧ください。

小児疾患・希少疾患向けの MIDD を活用した薬事規制サービスやPMDAへの新薬申請についてご質問はありますか?

日本市場での商業的成功を諦めるのは早すぎます。サターラのの日本・グローバルの専門家が、複雑な医薬品に関するご質問やご懸念点にもお答えいたします。

日本における希少疾病用医薬品の承認成功事例

参照文献

厚生労働省Press Release 令和6年度厚生労働科学特別研究事業「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」研究班の整理結果に関する公表、2025/3/31.

医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘、ドラッグ・ロスに対するPMDAの取り組み、第35回抗悪性腫瘍薬開発フォーラム, 2024/02/17

Rajesh Krishna, The Utility of Model-Informed Drug Development for Rare Diseases, 2022年5月20日 Blog, Certara | Model-Informed Drug Development for Rare Diseases

Certara. 4 Ways That Mechanistic Modeling Accelerates Bispecific (and Multispecific) Antibody Drug Development. Blog, Sep 12, 2024.

Certara. Quantitative Systems Pharmacology (QSP) Modeling for Immunotherapy-induced Cytokine Release Syndrome. Blog 2024年8月20日 .

Fediuk et al. End‑to‑end application of model‑informed drug development for ertugliflozin… CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology, 2021.

Hasegawa M, Kijima S. MIDD in Japan- Implementations, challenges and opportunities. Adv Drug Deliv Rev. 2025 May;220:115553. doi: 10.1016/j.addr.2025.115553. Epub 2025 Feb 28. PMID: 40024482.

今井 康彦

サターラ合同会社 シニアコンサルタント

サターラ APAC & EMEA地域担当 シニアマーケティングディレクター

サターラ コンテンツ戦略ディレクター

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