定量的システム毒性学(QST)

in vitro および in vivo における毒性データと計算学的モデリングの統合による、より効率的な化学的リスク評価に対するパスウェイベースの手法を実現

有効性および安全性に優れた医薬品開発における重要な課題として、創薬研究早期における非常に複雑な生体システムに対する生体外物質の副作用の理解と効果的な予測を実現する機能の開発が挙げられます。特に、医薬品副作用(ADR)の30%が、現行の前臨床動物実験や既存のモデリング手法では予測不可能であることは注目すべき事実です。大量かつ高品質な「オミックスデータ」(ゲノミクス、プロテオミクス、トランスクリプトミクス、およびメタボロミクス)およびそれらの関連性に関するデータベースに加えて、ハイ・スループット・スクリーニング(HTS)の諸手法を含む高度な計算・解析ツールが利用可能となったことにより、メカニズムに基づく ADR のより深い理解や、より予測的かつ正確性に優れたリスク評価手法を実現する、QST モデリングの導入に向けた動きが加速しています。

定量的システム毒性学(QST)について

QST はシステム生物学、毒性学、および化学を融合した学際的手法であり、従来の毒性学に、生体組織の複数レベルに渡って発生する分子的および機能的変化の定量的解析を統合させた新興分野です。QST の目的として、従来の経験的なエンドポイントおよび動物実験に基づく評価ではなく、有害事象のパスウェイおよびネットワークの阻害としての作用機序の記述に基づいて ADR を特徴付けることが挙げられます。

米国食品医薬品局(FDA)、米国環境保護庁(EPA)、欧州医薬品庁(EMA)、国立衛生研究所(NIH)、国立環境衛生科学研究所(NIEHS)、および欧州安全衛生機構をはじめとする、世界各国の規制・生体医学・公衆衛生に関連する研究機関は、安全性のより効率的な評価の達成を目的としたシステム毒性学の発展に対する協調的な取り組みを進めています。Trans QST や EU-ToxRisk と Toxicology in the 21st Century(Tox 21)の共同研究を含むコンソーシアムでは、科学を強化し、動物実験の代替手法となる安全性評価手法の開発を主導しています。

QST の利点

in vitro および in vivo 手法に基づく従来の安全性評価手法は、動物実験に大きく依存するうえ、メカニズムに関する情報は限定的に得られるのみです。システム生物学分野の1つである QST では、分子相互作用と副作用の関連性に関する新たな知見を獲得する目的で、大量の(de novo)および過去のデータを統合する計算学的手法を採用しています。QST は、創薬研究および医薬品開発において以下の重要な利益を提供することが期待されます。

  • 創薬研究・医薬品開発の早期段階において、パイプラインの毒性を同定することで、新規医薬品を市場に投入するまでの費用と時間を削減します。
  • 生体システムに対する生体外物質の影響をより正確に評価する予測モデルを導出します。
  • 医薬品の有効性を増大し、医薬品副作用のリスクを抑制し、オフターゲットの相互作用を軽減させます。
  • メカニズムに基づく医薬品安全性試験の戦略の策定を通して、医薬品安全性評価を強化し、動物実験を削減します。
  • 病態進行および薬物毒性のより深い理解を可能にして、安全かつオンターゲットであるうえに有効性も高い医薬品の開発を促進します。

Certara の Simcyp 部門による定量的システム毒性学のイニシアティブ

生理学に基づく薬物動態(PBPK)モデリング&シミュレーション分野におけるリーダーである Simcyp は、薬物毒性のメカニズム上の決定因子の理解と QST 予測ソフトウェアツールの開発を目的とした、新たな QST の取り組みを主導しています。Simcyp のメカニスティックモデリングにおける高い専門性を活かすことで、この総合的な取り組みから、医薬品の有効性・安全性・治療指数を同時に評価する包括的かつ定量的な手法が生まれることが期待されます。

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