分布

Simcyp Simulator を用いた薬物分布の予測

Simcyp® Simulator は、以下のような複数のレベルで薬物分布の特性を予測することができます。

  • 薬物の脂溶性および血漿タンパク結合のデータに基づく、Vss の予測
  • 完全な生理学的薬物動態 (Full PBPK) モデルに基づく、血中および組織における時間‐薬物濃度プロファイルの予測

Simcyp Simulator は対象化合物の母集団における分布容積の変動を予測します。最小の (Minimal) PBPK モデルでは、予測プロファイル推移を調整するシングル・アジャスティング・コンパートメント (Single-Adjusting Compartment、SAC) が使用可能です。Full PBPK モデルではユーザーが灌流律速 (perfusion-limited) 器官や膜透過性律速 (permeability-limited) 器官の選択や切り替えに加え、追加の器官を灌流律速もしくは膜透過性律速も含めて定義することが可能です。

トランスポーターの影響の組み込み

Simcyp Simulator に搭載される生理学的薬物動態モデルによって、腸管・肝臓・腎臓・肺・脳における、可飽和な取り込みおよび排出トランスポーターの影響を評価することが可能です。さらに、トランスポーターをユーザー指定の膜透過性律速器官や腫瘍に組み込むこともできます。

Simcyp Simulator は、規制当局が薬物間相互作用の研究に有効である強調する全てのトランスポーターを組み込むことが可能です。プロドラッグの吸収や代謝物の排泄に関与するトランスポーターであることが明らかとなっているその他のトランスポーターも含まれており、さらに16 個の腸管トランスポーター、14 個の類洞側膜および 5 個の毛細胆管側膜の肝臓トランスポーター、主要な腎トランスポーター (OAT1、OAT3、OCT2、P-gp、MATEs、MRP4 など)、血液脳関門における脳トランスポーター (P-gp、BCRP、MRP4 など)、および血液脳脊髄液関門における脳トランスポーターが含まれています。P-gp、BCRP、MRPs のような主要なトランスポーターの複数の器官におけるトランスポーター発現量が搭載され、観測された効果全体に対する該当器官の各トランスポーターの寄与を推測することができます。その際、相対的スケールと絶対的スケールの両方を選択することができます。

同時に機能する複数の肝臓取り込みトランスポーター (OATP1B1、OATP1B3、OATP2B1、NTCP など) の相互作用の評価を目的として、これらのトランスポーターの被相互作用薬や相互作用薬である、検証済みの化合物のリストが搭載されています。このマトリックス手法は、トランスポーターの特定の表現型の影響を評価する場合に特に有効です。完全な柔軟性を実現するため、Simcyp Simulator において提供される膜透過性律速モデルのそれぞれに、ユーザー指定の取り込みおよび排出トランスポーターを定義することも可能です。

血液脳関門

Simcyp Simulator の Full PBPK モデルには、基質および主要な阻害剤の両方に対する膜透過律速 4-コンパートメント脳モデルが組み込まれています。このモデルによって、血液脳関門 (Blood-Brain-Barrier, BBB) および血液脳脊髄液関門 (Blood-Cerebrospinal-Fluid-Barrier, BCSFB) におけるトランスポーターを考慮して、中枢神経系 (Central Nervous System, CNS) における薬物の体内動態をシミュレーションすることが可能です。この結果として、中枢神経系用薬の有効性および安全性に関する知見が得られます。脳の各セグメントにおける薬物の予測濃度は、薬力学的効果の評価にも用いることができます。

Simcyp Simulator についての詳細は、以下の項目を参照してください。