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研究開発の概念を自信に満ちた意思決定に変える

定量的システム薬理学(Quantitative Systems Pharmacology:QSP)は、研究開発環境に変革をもたらし、医薬品開発プロセスにおける意思決定に有用な情報を提供する大きな可能性を秘めています。QSPでは、コンピューターモデルと実験データを組み合わせることによって、医薬品、生体システム、疾患経過の関係性を探索します。膨大な量の生物学的および薬理学的データを活用する性能を備えたQSPの手法を活用することで、疾患の病態生理の理解を実現します。その理解に基づいて仮想の患者集団を用いた臨床試験シミュレーションを実施し、治療戦略の同定や検証が可能となります。

サターラは、再現性に優れたモデル構築を支援する頑健な規制対応ソフトウェアプラットフォームを開発することで、QSPにおけるアプローチの差別化に取り組んでいます。現在、免疫原性とがん免疫を対象としたソフトウェアプラットフォームを開発しており、今後神経変性疾患に対しても同様のプラットフォーム開発に取り組む予定です。これらのソフトウェアは、サターラが開発した高性能エディターツール上でご利用いただけます。操作性に優れたインターフェースを通してモデル構造と解析結果を再現性を持って出力します。この独自のアプローチは、米国、EU、日本の規制当局にも公開されており、創薬や開発、承認申請におけるQSPの活用促進に貢献しています。

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免疫原性の影響を理解

生物学的製剤開発における近年のイノベーションにより、さまざまな治療領域においてタンパクなどを応用した治療薬の承認申請件数が著しい増加傾向にあります。生物学的製剤の成功実績が多く報告される一方で、免疫原性(Immunogenicity:IG)、つまり好ましくない免疫応答を引き起こす事象が、製剤特有の重大な課題として懸念されています。

この課題に対して、サターラは、生物学的製剤のIGの予測と、IGが多様な患者集団における有効性および安全性に及ぼす影響の評価を目的として、QSP IGコンソーシアムを設立し、現在7社のメンバーから支援を受けてソフトウェアプラットフォームの開発に取り組んでいます。当社が開発するIG Simulatorは規制対応を実現したプラットフォーム上で動作し、創薬から臨床に至る全てのプロセスにおける意思決定をサポートします。さらに、ファーストインヒューマン試験のデータを取り込むことで、臨床第2および第 3 相試験デザインや疾患および併用薬の影響予測、異なる患者集団への外挿、さらに、用量調整によってIGを管理可能か予測することが可能となります。

この画期的なモデルの頑健性によって、生物製剤の開発者は、化合物の優先順位付けが容易になり、また、実施か中止かの決定に有用な情報を得ることができます。IGでの研究成果をもとに、ワクチン用の新しいQSPプラットフォームを開発しました。サターラQSPワクチンシミュレーターは、新型コロナウイルス感染症、腫瘍、RSVの多様な患者集団における投与推奨量を提供するために使用されています。

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Understanding the Impact of Immunogenicity
Advancing Combination Immuno-oncology Therapy

がん免疫併用療法開発への貢献

現在、がん免疫療法は単剤療法として対象患者集団の多様な種類のがんに対して大きな成果を挙げています。その一方で、併用療法の適用には依然として多くの課題を克服していく必要があります。QSPは併用療法における課題解決に非常に適しています。QSPモデルによって有効性を決定する多面的な相互作用を理解し、さまざまな患者集団に対するより適切な併用治療や用法用量の提案が可能となると期待されます。

サターラが設立したQSP Immuno-oncology(IO)コンソーシアムでは大手製薬企業 6 社と協力して、異なるモダリティの製剤さえも対象とした多様な併用療法の評価を可能とするQSP IO Simulatorを開発しました。QSP IO Simulatorでは、化合物の薬物動態、標的結合、作用機序に加えて、腫瘍や免疫のシステム生物学に関する知見が統合されています。本ソフトウェアプラットフォームの活用によって、新規の併用療法や二重特異性抗体のような複雑な生物学的製剤の臨床成績の予測が可能となります。

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神経変性疾患用医薬品開発が抱える課題

神経変性疾患(Neurodegenerative diseases:ND)(1,000を超える個々の障害を含む)は、何百万人もの人が死亡または健康被害を受けるなど、社会に深い影響を及ぼしています。しかし、NDは治療薬開発が最も困難な領域と言われており、特にアルツハイマ-病治療薬の開発は世界的に失敗に次ぐ失敗を繰り返しています。

サターラは、極めて大きなニーズ、課題、そして機会を認識し、一般的な生物学的経路とネットワークの定量的な相互のつながり、およびNDにおける薬理学的利用の可能性を特定し理解するため、QSPプラットフォームを開発中です。QSPプラットフォームの活用によって、特定の患者集団における用量、薬理作用、疾患の進行、さらに臨床アウトカムの相互関係の定量的な理解が可能となります。そして、疾患の進行を反映し、臨床において評価可能なバイオマーカーの同定に貢献することが期待されています。

QSPはビックデータを活用することで、薬物と生体システムのダイナミックな相互作用の帰結である疾患の病態生理の理解を支援し、in silicoにおける治療戦略の特定と検証を支援します。さらに、PBPKとQSPモデルを統合することによって、用量や組織中薬物濃度、バイオマーカー、薬理反応のメカニズムの関連性を定量化し、治療薬の薬理的な可能性の評価を実現します。

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The Challenges of Neurodegenerative Disease Drug Development
Tackling the most complex challenges with consulting services

QSPのエキスパートとともに最も複雑な課題に取り組みましょう

2020年7月に開催したワークショップで、米国FDAはこのモデリング&シミュレーション(M&S)技術を「QSPの価値の正当化」から「ベストプラクティスの実装」へ移行するものと表現しています。QSPは、最新の化合物とモダリティ、併用療法、新規治療薬の初回投与、その他の厄介な開発状況への疑問の解決に役立つものです。

  • 疾患の治療に薬理学的に介入する際に、特定の生物学的経路における、最適な標的とモダリティは何か
  • 併用療法により既存薬物の治療の有効性を高めるにはどうしたらいいか
  • 前臨床データに基づき、新規の作用機序へのヒトの反応(用量)を予測できるか
  • 新薬開発につながる経路を特定するために、まずその根本的な病態生理の理解をどのように進めるべきか?
  • 特定集団における薬物の効果を予測できるか
  • QSPでは、トランスレーション、製品の差別化、およびバイオマーカーの活用をどのようにサポートできるか
  • 患者特性に基づき投与計画を個別化できるか
  • 併用薬と遺伝子型による薬力学相互作用を把握することによって、臨床試験をどのように最適化できるか

サターラは、上記の疑問を解消するためのQSPコンサルティングサービスと規制対応サポートを提供しています。対応している治療領域は、腫瘍学、ワクチン、神経学、中枢神経系、血液学、自己免疫性疾患、希少疾患、皮膚科学、遺伝子療法などです。

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Piet vanderGraaf
Piet van der Graaf, PharmD, PhD Senior Vice President and Head of Quantitative Systems Pharmacology

Piet van der Graaf is Senior Vice President and Head of Quantitative Systems Pharmacology at Certara and Professor of Systems Pharmacology at Leiden University. From 2013-2016 he was the Director of Research of the Leiden Academic Centre for Drug Research. From 1999-2013 he held various leadership positions at Pfizer in Discovery Biology, Pharmacokinetics and Drug Metabolism and Clinical Pharmacology. He was the founding Editor-in-Chief of CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology from 2012-2018 before becoming Editor-in-Chief of Clinical Pharmacology & Therapeutics. Piet received his doctorate training in clinical medicine with Nobel prize laureate Sir James Black at King’s College London. He has been awarded the 2024 Gary Neil Prize for Innovation in Drug Development from the American Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics (ASCPT) and was the recipient of the 2021 Leadership Award from the International Society of Pharmacometrics (ISoP). Piet is an elected Fellow of the British Pharmacological Society and has published >200 articles in the area of quantitative pharmacology and drug development.

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Andrzej Kierzek, PhD Head of Systems Modeling

計算生物学の分野に25年にわたって携わってきました。ゲノムスケールの代謝ネットワークモデルに基づいて、分子ネットワークにおけるダイナミクスや拘束の解析を目的としたモデルやソフトウェアを発表しています。現在、がん免疫と免疫原性の研究に積極的に取り組んでいます。英国のサリー大学においてシステム生物学の客員教授も務めています。

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Hugo Geerts, PhD Head of Neuroscience Modelling, QSP

In Silico Biosciencesの共同創設者として、神経学や精神医学分野のQSPモデリングに18年間取り組んできました。また、ベルギーのべーアセに拠点を置くJanssen Research Foundationのリサーチフェローとして創薬と開発業務に20年間携わってきました。サターラでは、神経変性疾患を対象とした新たなQSPコンソーシアムを先導する役割を担っています。

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